| テッサちゃんホームステイ計画 |
んご、んご、んご、んご
朝靄消え切らぬ街を謎の異形の群が闊歩する・・・新聞配達のバイトが腰抜かしてたりするが、それを気にせず進みづける
全長はざっと2メートル、横幅は1メートル近く、3頭身ほどのバランスで、体色は緑・・・口は耳元まで裂け赤い髪と二本の角、細く据えられた眼・・・
それらが9匹、一直線に進み続けているのだ
不気味この上ない・・・
『宗介、こんな堂々と行っていいのか?』
それの1つが先頭を行くそれに内線で話す、ちなみに外線は
「んご、んごっんごんんごっごんんごっんごっんんごっ」
となっている
『心配はいらん、いかに欲に駆られようと人間の本質まではかわらん、奴等の中に捕虜を人質にする奴等は居ない、策を弄した方がかえって危険だ、正面から行けば正面から返す性格だからな』
言いながら進んでいたが、突然歩みを止める
と、2匹目からがどんどんとぶつかり
んごっ、んごっ、んごっ、んごっ
衝撃で後に倒れ込み、起きあがりこぶしの要領ですぐ立ち上がる
『突然止まるな』
『む?尻尾を使え、あらゆる衝撃を吸収できる』
確かに、先頭のそれは後からの衝撃を尻尾で支えることでいなしている
『さっきまで人間だったんだ、いきなり尻尾まで気が回るか』
『それより、ここから3手に別れる、俺は正面から行く、クルツは2人連れて狙撃ポイントを探してくれ、マオは裏口からだ、いいか、必ずノックして出入りですと言え、そうすれば力任せに来る』
『・・・まぁ、仁侠映画は見たことあるけど・・・まだ生き残ってるの?そんなの』
『ヤンと大佐は付いてきてください・・・大佐はくれぐれも前に出ないように』
『はい』
どうしても自分が行きたいと言い張ったテッサは結局付いてきていた、人工知能を生かした自動防御モードをフル稼働すれば世界中の何処より安全という宗介の保証のおかげでもある
『では行きます』
んごっ、んごっ、んごっ、んごっ
不気味な足音を響かせながら、す〜ぴぃ君は進んでいった
コンコン、庭先を掃除していた美樹原の前で扉が小気味良く叩かれる
「はい、新聞ですか?」
何気なくその扉を開け、目の前が緑の鱗に覆われる
「あら?」
視線を上にずらせば極端にデフォルメされた・・・いわば直立歩行のワニ
「あら可愛い」
だがそれが腰からショットガンを引き出し構えればそうは言ってられない
「お嬢さん、危ない」
とっさに横から飛び出した1人の男が蓮を邸宅内へ引っ張る、追撃を恐れ、辺りを見回っていたが、まさかこんな物が敵だとは思わなかったのだ
ショットガンからゴム弾が放たれ、玄関の窓が破られる
「出入りだ〜、全員でばれ〜」
言葉の後すぐに、一体のボン太君が飛び出してくる、それは正面のす〜ぴぃ君に向かうとその肉球を叩きつける
だがす〜ぴぃ君もさる者、尻尾を軸にしてその衝撃を流すと、尻尾を跳ね上げ強烈なヘッドバット
『ぐっ』
再び肉球を叩きつけるが、同じように尻尾でいなされ
『同じ手はくわん』
起きあがろうとしたところに追い打ちの肉球、後に弾け飛ぶす〜ぴぃ君
充分に体重の乗った肉球だったが、のっそりと立ち上がるす〜ぴぃ君
『効かない?』
その体型からは信じられない速度で間を詰めると、物理学上不可能なはずの後回し蹴り・・・形而学上信じられない角度で股が裂け、わずかにボン太君の腹を凪ぐ・・・もっとも脚の長さがないためほとんどダメージはないが、問題は
『ぐふっ』
脚のすぐ後に来た尻尾がボン太君の腹に叩きつけられる
『こいつ、強い?』
睨むようにす〜ぴぃ君の顔?を見、その口がかぱっと開かれる
『へ?』
『ノヴァフレーム』
何故音声入力なのか、そもそも、かの作品への冒涜のような気もするが、す〜ぴぃ君から放たれる火炎放射器を越える放射火炎に晒されるボン太君
『ボン太君に炎はきかんぞ?』
だがす〜ぴぃ君の炎は止まらない
『さ、酸素を燃やし尽くすつもりか?、くっ』
慌てて炎の外に出ようとするが、両脇からショットガンの銃撃を受ける、残った2体が挟撃をかけているのだ
『くそぉっ』
心なしか苦しくなってきた、せめて最後の一撃と突っ込もうとし
「巫女さんキ〜ック」
上空より飛来した影がす〜ぴぃ君の頭を打ち据える、衝撃に口が閉じ、ぼふっと煙を吐くす〜ぴぃ君
「天が呼ぶ地が呼ぶ、私の心が泣き叫ぶ、悪を倒せと、日頃の鬱憤はらせと泣き叫ぶ、一宿一飯の恩を得て、巫女さん仮面ここに参上」
・・・とりあえず、ポニ男と戦ったあれ+鬼の仮面と刀を持った女が邸宅の屋根から言い放つ、鬱憤はらせの所に妙に力が入ってたりするが
「裏口からも侵入されてる、とりあえずその伝言だけだったんだけど・・・私も手伝うわ、とう」
先はす〜ぴぃ君の頭を踏んづけた後再び跳躍し、屋根に着地したのだが、今度はそのまま地面に着地、神速の勢いで間合いを詰める
こおおおおぉぉぉ
特殊な呼吸法で身体の奥底から力を組み上げる
それは辺りに熱波となって照射され始める、それは刀を伝い刀身でわずかな揺らめきとなる
「我流破裏閃流、真貫閃(しんかんせん)」
ひかりの速さで放たれた抜刀がす〜ぴぃ君の腹を凪ぐ
す〜ぴぃ君はその尻尾を地面に突き刺すと、勢いよく腹を後へ引き寄せる、その腹の前を通り過ぎる剣閃
『もっとも、す〜ぴぃ君の対刃装甲にそんな物はきかんがな』
単なる皮下脂肪の気もするが、だがそのす〜ぴぃ君の腹に一筋線が残される、宗介の頬を汗が流れ
『・・・大佐殿、こいつは私1人で充分です、先に行ってください』
普段よりわずかに低い声でそう告げる
『でも、そのお腹』
『油断しただけです、私達の目的は千鳥と少佐の救助です、急いで』
あの宗介が油断したと言うだけでもおかしいのだが、自分が足手まといだと言うことはよく分かっているため黙って従う
『勝って、くださいね・・・』
『任務、了解』
巫女さん仮面を迂回して廷内に入っていくテッサとヤン、巫女さん仮面は眼前のす〜ぴぃ君の殺気に圧され動けない
『アーフィー、メインウェポンごるでぃおん、サブウェポンデザートイーグル』
コントロールシステムAIに呼びかける宗介
『どちらも最高機密に属しています、実戦での使用例も未だありません』
『頼む、出してくれ、本気で行かなければ負ける』
どういう原理かは分からないがこの刀はこのす〜ぴぃ君の腹に傷を付ける、それはテッサとこいつが相対すればテッサの身が危険にさらされることを意味する
『分かりました、ごるでぃおんは背部バイパスからエネルギー注入、3分で準備完了します、デザートイーグルは三機が使用可、残り10機こちらに向け射出』
『よし、行くぞ』
す〜ぴぃ君は一気に巫女さん仮面との間合いを詰めるとすぐに横に跳ぶ
『デザートイーグル、Go』
そして、先程刀で穿たれた傷のわずかに上が裂け、中から三つの物体が姿を現せる
コケ〜〜〜!!
宗介がアフガンで毎朝戦った戦友の形を模したそれは、威勢の良い発射音と共に巫女さん仮面の周りを飛び回る
「何?鶏?」
狼狽える巫女さん仮面、さらに10機のデザートイーグルが空から来襲する、それらは巫女さん仮面を包むように飛び回り
『ヒート・エンド』
す〜ぴぃ君の手がぎゅっと握りしめられ、全てのデザートイーグルが自爆、辺りにチャフをまき散らす
『たっ』
高く、朝焼けを背にするように舞い上がるす〜ぴぃ君
『俺のこの手が轟き叫ぶ、貴様を倒せと輝き放つ』
・・・何故全ての兵器が音声入力になってるかは不明だが、その声と共に背部が避け、棒のような物が飛び出る
『いま日輪の輝きを受け、必殺の』
その棒の先が急に膨らむ、それはほぼす〜ぴぃ君と同じサイズのハンマー・・・色は赤で等間隔でぎざぎざ、中身はおそらく圧縮空気
『ごるでぃおん、ハンマー』
全ての体重を乗せた渾身の一撃、それは散らされた土煙、チャフと相まって回避不可能の必殺の一撃となるはずだ
そしてそれが先のデザートイーグルが放った爆炎に到達し
ぴこっ
ごぶぶぁあああぁぁぁ
そこを中心に強烈な衝撃波が舞い上がる、それは莫大な量の土を土煙と化し視界を塞ぐ
中に詰め込まれた圧縮空気が激突と共に全解放、ハリケーンに相当する爆風を30メートル圏内で放ったのだ
『すまんな、こちらにも手加減する余裕はなかった』
爆風の余波は未だ衰えず、次第に土煙も薄れていく
そして、ごるでぃおんが炸裂した場所にただクレーターだけが残される
『なっ、居ないだと?』
辺りを見渡すが、辺りはすでに荒れ野と化している、玄関の窓にはひびが入り、門はほぼ全壊という有様だ、隠れるような場所はない
『何処だ?何処に行った?』
運悪く未だチャフは辺りを飛び回っている
『くっ』
仕方無しに裏口目がけ走るす〜ぴぃ君・・・その頃
「ふも〜っ」
肉球で殴りかかってくるボン太君、だがす〜ぴぃ君は尻尾で微妙にバランスを取り、衝撃を受け流すとその衝撃をそのまま肉球に返す
「ふも〜〜〜っ」
再び吹き飛ばされるボン太君・・・先から何度もこのす〜ぴぃ君に殴りかかっているのだが、ほぼ完全にカウンター?を喰らってしまうのだ
す〜ぴぃ君としては・・・特に中に入っている者としてはただ突っ立て居るだけなのだが・・・
『完璧なオートジャイロとバランサー・・・ミスリルに正式採用しましょうかね』
その中に立ってさざ波のような揺れにたゆたうテッサ、そのボン太君は再び肉球で殴りかかり
突然す〜ぴぃ君がひどい振動に襲われる
『何?』
センサーを見れば、背後にも敵反応、同時に挟撃を喰らったようだ
『ボン太君?』
慌てて背後センサーを見れば、そこには先まで宗介と戦っていたはずの巫女さん仮面
『さっきの人?相良さんは?』
巫女さん仮面は黙したまま刀を抜き放つ
『まさか・・・殺した、の?』
「悪砕閃(おさいせん)」
構えられた刀がぶれ、数条の閃光が迫る
『ふざけないで』
自動モードを解除すると一気に突っ込む・・・何か考えがあったわけではない、ただ我を忘れた行動だったが、それがかえって良かった、最初の一撃が偶然堅い部位に当たってそれ、残りもそれにつられずれた
『相良さんを、殺したんですか?』
そのまま尻尾の反動で頭突き、右手に噛みついてやる
『ふぬっ、ふんむっ』
刀を取りこぼすと、仕方なしにす〜ぴぃ君の頭を押さえつける巫女さん仮面
『よくも相良さんを』
ぶんぶん腕を振り回すテッサ、それが巫女さん仮面の覆面をはぎ取り
『ち、千鳥さん?』
(どういうこと?千鳥さんが相良さんを殺したの?でも千鳥さんは味方のはずだし・・・でもいきなり攻撃を、それに覆面、覆面をする奴は何かやましいことがある奴だってウェーバーさん言ってたし)
「この、よくも、あんたも刀の錆にしてやる」
一瞬す〜ぴぃ君の動きが止まったところで距離を取るかなめ、再び刀を握る
(やっぱり・・・分かっている、誰の心も弱い物、裏切りは当たり前・・・考えてみれば、内通者が居なければ隠し通路の発見は難しいはず・・・そう言うこと)
『メインウェポンごるでぃおん、サヴウェポン濃縮ガウルン汁を選択』
『どちらもきみ・・・いえ、何でもないです』
テッサの雰囲気に圧され口を閉ざすAI、瞬時す〜ぴぃ君の手に棒と妙な瓶が握られる
『つまり・・・殺っちゃっても良いんですね・・・覚悟してください千鳥さん、相良さんの墓前に捧げてあげますから、ヒロインの座は私の物です』
彼女の手のごるでぃおんが不気味な怨念に包まれていく
「どうやら、そっちも本気みたいね・・・」
刀を床に置くと心を高揚させていく、そして、手にハリセンが創られる
(この力は物に込めることでその能力を数百倍に上げる、そして相性次第では・・・)
そのハリセンから妙な気が発せられる
「先のポニ男戦では不覚をとったけれど・・・今度は本気で行くわよ」
同時に左手が懐からスリッパを取り出す
2人、わずかに睨み合い
『分かってますよね・・・』
テッサが何か呟き
わずかな蠢動と共にテッサが濃縮ガウルン汁を放つ、おおよそ考える限り最強の溶解度を誇る毒液、毒ペ色のそれがかなめに迫る
だが、放たれたスリッパは微妙な力加減で瓶を割ることなく受け止める、そしてさらに三枚を放とうと
『殺りなさい』
テッサの呟き
底冷えするような感覚、慌ててスリッパをまるで逆方向に放つ、そして・・・かなめ目がけて放たれていた銃弾はそれで軌道が反らされる
『上出来です』
かなめの体勢が崩れたのを見て大きく大上段からごるでぃおんを放つ・・・だが、テッサは知らなかった、先程同じように放たれたごるでぃおんをかなめが防いでいることを
ぴこんっ
ごぶぶぁあああぁぁぁ
振り下ろされたごるでぃおんから爆風が吹き荒れ、部屋のあちこちにひびを入れながら下へ突き抜ける
『これで相良さんは私の物』
そして、せめて亡骸だけでも回収しようと近づき
『えっ?』
そこにはただ大きなクレーターがあるのみ
『何処に?』
「私の勝ち・・・ね」
そして・・・目の前に突然かなめ、その手にはガウルン汁
『しまっ』
そして・・・ガウルン汁がす〜ぴぃ君の頭部にしみこんだ
「私の囁きが教えてくれた物は三つ、オリハルコンを用いたこの肌着、そして神威の拳という呼吸法、最後に・・・個人用不可視迷彩、超高性能ECS、爆風は芭蕉閃(ばしょうせん)で同圧の風を作成、防がせてもらったわ、何より・・・これと似たような物を私は知ってるのよ」
す〜ぴぃ君内部のレッドランプがいきなり光る、慌てて頭部を脱ぎ捨てるテッサ
「な・・・テッサ?どうして」
頭部カバーの中にはすでに見知った好敵手の顔
「相良さんと戦うために来たんです、それにしても、乙女にこんな物かけるなんて、あなたには相良さんの後を追わせてあげます」
慌ててガウルン汁から離れるテッサ・・・首から下はす〜ぴぃ君モード
「な?宗介?・・・何のこと?」
(宗介と戦うために・・・そして宗介の後?まさか・・・まさか)
「何言ってるんですか、あなたが・・・いえ、責任は私にあります、元はと言えばあなた何かの護衛をさせた私が悪いんです」
(宗介が死んだの?・・・あなたが、殺したの?・・・そう言えばさっきの狙撃、私を狙って・・・)
「じゃあ、あの殺人料理が?・・・」
テッサの料理を食べて藻掻き苦しんでいた宗介・・・おそらくは昨晩からじわじわと苦しめ等れていたのだろう
「さつじ・・・そう、まさか相良さんがそう簡単に死ぬとは思ってなかったんですが・・・あなたのあの料理のせいで本調子じゃ無かったんですね」
ここでの決戦を想定して相良さんの体調を崩す・・・何てあざとい
「それはあなたの方じゃない・・・けど、やっぱりそうなのね、あなたのあの料理のせいで宗介は死んだのね」
「なっ、手を下したのはあなたじゃないですか」
私の料理のせいで相良さんが苦しんだなんて、あの苦しみは千鳥さんの料理に決まってます
「ふざけないで、私の料理は宗介を楽にするために作ったの、あなたみたいにじわじわいたぶる事なんて考えなかったわ」
可哀相な宗介、せめて仇は討ってあげるわ
「楽に・・・千鳥さん、やっぱりあなたは許せません、あの時から狙ってたんですね、少しでも気を許した私が馬鹿でした、心配しないでも相良さんのお墓は私の部屋に、あなたのお墓は夢の島に建ててあげます」
「そう・・・でも心配しないで、宗介の棺桶にはあいつの好きだったカロリーメイト、あんたの棺桶には補助輪付き三輪車入れてあげるから・・・あの世では転けないでね」
冷ややかな目で睨み合う2人、クルツは2人の会話から答を導き出そうと苦しんでいた、同時に宗介の反応が動いていることを知らせようとしているが
「相良さんは私と一緒になるべきだったんです・・・なのに、あなたのような人がいるからこんな事に・・・」
「ふんっ、自分の短慮を押しつけないで欲しいわね、それに、宗介は私と居るべきだったのよ、そうすればもっとこっちの世界に順応できたのに、あなたがいきなりこんな無茶したせいで」
「・・・私の我が儘がこんな事態を引き起こしたことは確かに悔やみます、けど、元はと言えばあなたの独占欲が強すぎるのが問題です、それに相良さんを洗脳しようだなんて・・・」
「洗脳?教育よ、あなた達が叩き込んだふざけた常識を治してあげたのよ、感謝こそすれ、こんな真似するなんて・・・許さない」
さっきからす〜ぴぃ君ヘッドがぴーぴーなってるが
「だいたい、あんたのその幼児体型で宗介をとろうなんて事が無茶なのよ、どうせ上官命令で従縛してたんでしょうけど」
「な、あなたこそ不必要に胸ばかり重くして相良さんから匍匐前進に邪魔だとか言われたことはないですか?」
「う、うるさいわよ」
額に汗しながら言い返すかなめ、その焦った様子にテッサが薄笑いを浮かべる
(図星か・・・)
遠くビルからその状況を眺めるクルツ、急ぎ宗介にその部屋に向かえと告げたが・・・間に合うか?
「テッサ・・・悪いけどあんたを殺すわ」
「それは良かった、無抵抗な人を殴るなんて性悪な事は出来ないんですよ・・・あなたと違って」
火花散り睨み合う2人
今まで抑えていた囁き声を全開にするテッサ、これで少しは役に立つ知識を得たいと考えたのだが・・・
《よかった、私の助け居るでしょ?居るよね?イるル?》
「うるさいです」
《へ?》
「あなたの存在意義は所詮その場限りの未解決伏線なんですからもう出番はないんです、そんなのが準レギュラーの私に勝てると思うんですか?消えなさい」
《きゃ〜〜〜》
かなめに注意を払ったまま、租借するように知識を強奪していく
そして微笑を漏らす
「どうやら、私の勝ちのようですね・・・」
優雅に身を反らすと横目でかなめを見る
「やはり知識も相手を選ぶようですね、あなたと違って知性派の私にはちょうど良い知識です」
「そう、でもねテッサ、準レギュラーがほぼ皆勤レギュラー、完璧なヒロイン格に勝てると思ってるの?」
「セリフは量より質、そしてイラストはカラーが命、せっかくの1人アップでサザエ握りしめてるあなたよりシャワー後の姿をカラーで飾った私の方がヒロイン性では勝っているでしょう、今まで相良さんの相方ご苦労様でした」
「なるほど、無い胸を露出で補ってるわけね、けど、あいつは相方じゃなくて私のパートナーなの、いえ、もうだったなのね・・・」
「決着を・・・」
「つけましょうか」
すでに宗介の仇どうこうよりヒロイン争奪戦と化した2人・・・その間を緊迫した空気が流れ
「知ってます?」
テッサがわずかな呟きを漏らす
「神は、居るんですよ」
そしてテッサの目が緑に染まる
「行きなさい、光の白刃」
テッサの叫びと共にその左手から高熱波が放たれる、かなめは一瞬戸惑った物のすぐに横に避け
「所詮は力押し?知性派にあるまじき事ね」
テッサは後に飛び退きながら笑みを浮かべ
「甘いですよ」
高熱波が弧を描いてかなめの背に迫る
けれど、進路を変えようとはしない
「どっちが」
かなめはこの高熱波が自分に当たらないことは分かっていた、髪が感じ取るわずかな静電気がそれを教えてくれるのだ
そして、高熱波はかなめがちょうど通り過ぎたところに当たり
突然煙がまいおこる
「しまっ、ガウルン汁?」
床にあって畳を浸食し続けていたガウルン汁は高熱波で蒸発、悪臭と有害な毒素がかなめを包む
「私の叡知の勝利ですね」
くすっと笑うテッサ、先の芭蕉閃では一方向の煙しか吹き飛ばせないだろう
ぴこんっ
だが、突然その煙がテッサに押し迫る
「なっ」
慌てて飛び避けるが、高圧な風に押されるテッサ・・・かなめの手にはごるでぃおんが握られていた
「知らなかったの?これを創ったのは私なの、だから防御法も知っていた、そして私にはこれもある」
左手にごるでぃおん、右手にはハリセンを持つかなめ
「・・・私には魔術があります」
ごるでぃおんを右手にかなめを睨むテッサ
・・・最後の対決が生まれようとしていた
「・・・つまり、私の勘違いだったと」
その部屋目がけ走る三つの人影、す〜ぴぃ君スーツを脱いだ宗介とカリーニン、蓮だ
「ああ、戦闘中美樹原君と話し合わせてもらったが、情報の行き違いがあったようだ」
「すみません、まさかこのようなことになるとは」
「いえ、私のミスでした・・・」
「今は責任を考えることはない、唯一通信が繋がらない大佐を止めるのが先だ、ウェーバー軍曹の話ではかなり危険な状態だ」
そして、後一部屋と言うところまで来たとき
「往生せいや〜」
「死んじまえ〜」
・・・誰かの、声が聞こえた
「私の左手に、冥土の象」
「我流破裏閃流、最終奥義、血掌閃(けっしょうせん)」
テッサが放った超重力の圧力と、同じく超圧縮された衝撃波がぶつかり合う
そして、2人が中空の一点で交差しあい
「失礼します」
ごるでぃおんがぶつかり合う
ぴこん
ごごごぶぶぁああああああぁぁぁ
そこから生まれた爆風は圧力すら開放し・・・全てを凪ぎ払った
「大佐殿、大佐殿?」
瓦礫をかき分けて倒れ伏すテッサに走り寄る宗介、幸い息もあるしす〜ぴぃ君スーツのおかげで外傷もない
走り寄ってきたカリーニンにその身体を預けると
「千鳥、千鳥?」
テッサの隣でで倒れていた千鳥の身体を観察する、息もあるし、幸い外傷もなさそうだ・・・擦り傷は幾つかあるが、美樹原組邸宅の三分の一全壊に比べれば些細な物だろう、まぁ美樹原組邸宅はかなりの大きさでまだまだ残っているが
「マオ、千鳥を頼む」
マオに千鳥を預けると後1人、居るべきはずの姿を探す
「何処だ?」
震える声で瓦礫を掘る、指がすぐに血で包まれる
両目を見開き、びっしり汗を流しながらセンサーで生体反応を探す
ほんのわずかな熱量が、瓦礫の奥にある
「くっ」
急いです〜ぴぃ君スーツを脱ぐと、隙間から身を潜り込ませる、日本家屋だったのが幸いしたか丈夫な柱は瓦礫や煉瓦に幾つもの隙間を創っていた
「美樹原・・・美樹原?」
震える手で脈を取る・・・が、手が震えてうまく看ることが出来ない
仕方無しに蓮の左胸に耳を押しつける
「・・・鼓動停止?」
慌てて息を確かめるが・・・止まっている、それに頭部に外傷、額も裂け血が流れ、左腕は嫌な方向に曲がっている
「死なせるか」
蓮の左胸に手を当て、心臓に刺激を与える
「死なせるものか」
蓮の小さな鼻をつまむと気道確保、息を吹き込む
だんだん冷たくなっていく蓮の身体を抱きしめながら宗介は何度もそれを繰り返した
「うっ・・・」
目覚めれば、ほっとした表情のカリーニンの顔
「・・・カリーニンさん・・・では、あの性悪泥棒猫はくたばったんですね?」
「誰が泥棒猫よ」
掘削作業を一時中断してそれだけを言うかなめ、再び瓦礫をどかし始める
「なっ、どういうことですか?カリーニンさん」
「勘違いだったんですよ、相良軍曹は生きています、たった今民間人救助のために瓦礫の中に入っていきました・・・その穴もすでにふさがりましたが」
「・・・手伝います」
ぜぃ・・・ぜぃ・・・
最後の力を振り絞って息を吸い込むとそれを蓮の肺に注ぎ込む宗介
一瞬、辺りが光に包まれたような気がして
「っ・・・けほっ」
耳元で蓮のわずかな呼息
ほっと、そのまま倒れ込む
「相良、さん?」
「ぜぃ・・・ぜぃ・・・」
今の今まで呼吸の停止していた蓮よりむしろ蒼白な顔で、蓮の顔を見返す宗介
「大丈夫、か?」
「は、はい・・・」
真っ赤になりながら辺りを見る蓮・・・少し、恥ずかしかったりする
かなめが最後の瓦礫をどかせばそこには宗介の背中・・・
ぴしっと・・・テッサとかなめの動きが止まる
「お、宗介やるね〜」
「あちゃ〜・・・」
クルツとマオの嘆息、慌ててテッサの前に立つカリーニン
宗介は顔を上げるとそのまま蓮の胸に倒れ込んだ
それをしばし眺めた後で
「相良軍曹、状況を報告したまえ」
「はっ」
一瞬倒れそうになりながら、蓮の手を借りて立ち上がる宗介
「美樹原の生体反応発見後救助のため侵入、その際美樹原の心音呼気が無かったため、心臓マッサージと人工呼吸でそれに処置」
「・・・」
背後で蓮が顔を紅潮させているが・・・当然気付かない
「・・・まぁ、いいだろう、後で報告書を出しておくように、それと・・・我々は大佐を連れていったん戻る、お前は何処かに宿泊場所を探すように」
「はい」
大佐を背負い去っていくカリーニン、マオもかなめを背負い何処かに消える
「・・・さて、どうするか・・・マンションはほとんど壊れてるが・・・とりあえずはあそこにビバーグを張るか」
「あの、相良さん、元はと言えば私達の責任ですし・・・その・・・」
************************************
かなめ「・・・」
アズ「あら・・・ずいぶん壊れてますね」
かなめ「どういう事よ」
アズ「お蓮さんに転んだんでしょう、たぶん給湯室で腹黒いテッサさんを見てそれに汚染されたんでしょうね、さしずめTAK○さんのあれが一番の原因でしょうけど」
かなめ「じゃなくて、これじゃあたしただのギャグキャラじゃない」
アズ「大丈夫です」
かなめ「根拠は?」
アズ「火元が削除した没文章ですけど・・・」
テッサの右手がかなめのテンプルを捉え、かなめの指がテッサの鼻を引っ張る
「ふんんっ〜〜〜」
お返しとばかりに口に手を突っ込んで引っ張るテッサ
「むくぶ〜っ」
・・・どちらも筋肉補助機能を使ってるうえ、顔の形が変わるほど引っ張りあえば普通裂けると思うが・・・まぁ、ギャグキャラだし
かなめ(絶句)
アズ「どうです、当初の予定ではこの醜い様子の障子一枚となりの部屋で人工呼吸の予定だったんですよ」
かなめ「・・・火元を殺したら何か、問題在る?」
アズ「ええと・・・悪夢の執筆が止まると私の出番もなくなるんですが・・・まぁ、私も殺されかけたり色々されてますから、ご自由にどうぞ」
かなめ(羅刹モード)「往生せいや〜〜〜」